健斗のマビノギブログ

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ブラックから始まるエリン生活 第8話 エリン恐怖体験

「今日は細い糸をお願いします。」
きっかけはその一言から始まった。

今日も雑貨屋でアルバイトしていると細い糸の紡織を頼まれた
「材料の蜘蛛の糸は村長の家のさらに上にある墓地にあります。」
「え?墓地ですか?」
「はい。行けば蜘蛛の糸がそこら中にあるので集めてきてください。」
「わ、わかりました…」

 

健斗は蜘蛛の糸を取りに墓地に向かった。
(そういえば、まだ墓地に入ってなかったな。しかし蜘蛛か…)
健斗の実家は田舎でよく手のひらサイズのでかい蜘蛛が現れた。
しかし、いくら幼い頃から見てきたからと言ってなれるものではなく健斗は蜘蛛が苦手だった。
(さっさと集めて帰ろう。)

墓地が見えて来たところで、健斗は異変に気付いた。
(何かが動いている?人じゃないよな?)
最初は何がいるのかわからなかった。
やがてその正体に気付いた


「はぎゃうひゃうぁああああ!!!」
墓地でうごめいていた正体は白い蜘蛛だった。
ただ、そのサイズが異常に大きかった。
手のひらサイズのクモでも苦手なのに、まさかの人間サイズの蜘蛛なんて発狂してしまう。

「ヒー!ヒー!ヒィィィ!」
健斗は悲鳴をあげて逃げ出した。


逃げ出して少し落ち着いてきた。
(そういえば墓地にたまに大きな蜘蛛がでると聞いたけど大きすぎるだろ!しかもたまにじゃない、わんさかいたじゃないか!)
あれはただの蜘蛛。それがエリンの常識である。
しかし、異世界から来た健斗にとってあれは恐怖以外の何物でもなかった。
人間以上に大きい蜘蛛などもはやクリーチャーである。

しばらくして健斗は落ち着き、再び墓地に来た。
(こっそりと迅速に糸を回収しなければ。そこら中に落ちている。来るなよ!来るんじゃないぞ!)
健斗は怯えながら蜘蛛の糸を回収していった。

こうして今日一日は雑貨屋での細い糸作成だけで終わってしまった。
健斗はこの世界での生活に必要な強さを大幅に上方修正した。
自分の情けなさを痛感したのだった。地球ではどうあれここではあれはただの蜘蛛。いて当たり前の存在なのだ。

「強くならなきゃ、強くならなきゃ、強くならなきゃ、強くならなきゃ、強くならなきゃ、強くならなきゃ、…」