健斗のマビノギブログ

マビノギの小説や感想のブログです

ブラックから始まるエリン生活 第1話 ブラックから始まる転生

俺、田中健斗の人生はブラックだ・・・
子供の時から友達が家に来ては部屋から何かがなくなり、約束は平気で破られ裏切られる。
なぜか友人たちは自分に嫌がらせをする者に媚びて俺の陰口を言っている。

学生時代では生徒はもちろん教師にすら、身に覚えのない事をなぜか自分がやったことにされている。

仕事でも同じく覚えのない事や他人のやったことを自分のせいにされている。
必死に無実を証明できても謝られることは滅多にない。
そして残業、休日出勤が頻繁に続きふらつくことが多くなった。
とうとう心身ともにズタボロになっているのを感じる。

なぜ俺は生きているのかと思う日々が続く。
出来るなら、大自然の中で自由に一人気ままに暮らしたいと思いながら家に帰宅する。
帰宅途中ふらつき始め、どうにか玄関までたどり着いたところで意識が薄れていく。


ああ、真っ黒な人生だった。出会う人すべてが真っ黒だったと思った時、世界が白くなった。

 


あたりは白く、フクロウのような鳥が大量に飛んでいる。
やがて真っ白な空間の中でとても美しい女性が現れた。

 

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紋様のある黒いドレスを着た美しい女性。
海を連想する青い瞳は吸い寄せられるように神秘的な美しさだ。
とてもこの世のものとは思えない美しさを感じる。

初めてだ。初めて人を白ろく美しいと感じる。
今まで出会った人達は真っ黒としか思えなかったのにこの女性は今まで生きてきた中で初めて白く美しいと思えた

「こんにちは。田中健斗さんですね?あなたが来るのを待っていました。
私はナオ。あなたのような澄んだ魂を持つ人を異世界エリンに導くのが私の役目です。」

「そんな事を言われたのは初めてだよ。」
俺は心の中に熱いものを感じた。

異世界・・・エリンですか?どんなところですか?」
どうやら第二の人生が訪れるらしい。少しでも情報が欲しい。
「少し前までエリンは閑散としていたのですが、田中さんのような他の世界の方々が少しずつ移住して活気ある姿に変わりつつあります。」
「最近、冒険ががイリアという新大陸を発見しました。
その中間にあるベルファストという島も征伐されました。」
(どうやら大勢異世界から来ているらしいな。そして、新大陸発見!? もう少し早くに来たかった!そうすれば新大陸やそこにある遺跡などを自分が発見するチャンスがあったのでは!?)
今まで無駄に精神を削られ続ける日々よりそちらのほうが絶対いいに決まっている。

「俺は何をすればいいのでしょうか?」

「それは田中さんが何をしたいかにかかっています。
やらなければならない事が決まっているわけではありません。
目標は田中さん自身がエリンで暮らしているうちに自然と決まり、エリンでの生活を通し、その目標に徐々に近づいていくことになります。
「最高」とは素敵な言葉ですが、私は、人生の目標が常に「最高」である必要はないと思います。幸福や楽しみのほうがもっと素敵な目標だと思いませんか?」

「慌てて決めないで色々な事を経験した後に自分がしたいことを決めたら良いんじゃないでしょうか?」
(良かった、魔王を討伐しろなんて言われなくて。新大陸発見もいいと思ったけど、今はしばらく人とはあまり付き合いたくないからのんびりいこう)


「時間が来たようです。心の準備はできましたか?もうすぐエリンに出発します。
エリンには田中さんを待っている方がたくさんいます。その方々を訪ねたらエリンで生きていくにあたって必要な様々な事を教えてもらえると思います。」

そういってナオはパンと旅行ガイドを渡してくれた。

「では、エリンでの全ての出来事が幸せなものでありますように・・・。
いずれまたお会いしましょう」
そう言ってナオの姿が見えなくなっていく。
(また会える!初めて美しいと思えたこの女性とまた会うことができる!)
やがて違う景色が見えてくる

(可能なら今度の人生は真っ黒な人達とは関わらず自由に生きよう!)
と、心に決めたところから田中のエリンでの生活が始まるのだった。