ブラックから始まるエリン生活 第7話 エリンでも社畜の鑑
あの後、村を一通り見て回りダンカン村長の好意で家に泊めてもらってこれからの事を考えていた。
エンデリオンの手伝いで感謝されたことを健斗は思い返した。
地球では誰にも感謝される事などなかった。
今まではただ奴隷のように働かされてたうえ踏みにじられ、嘲笑われるだけだった。
今日、初めてまともに自分を見てもらえた気がした。
しばらくのんびりしたかったはずなのに、健斗は昨日初めて働く事の喜びを感じて一気にやる気に満ちていた。
今まではただ奴隷のように働かされてたうえ踏みにじられる毎日だった。
だが、ここでは違うのではないかと思えた。
地球では健斗の周りは都会だけでなく田舎もギスギスしていた。
実家が田舎の健斗にとって田舎はのどかなんてただの幻想だった。
しかし見て回った村の雰囲気はとても穏やかに感じた。
この世界でなら働き甲斐があるのではないかと思えた。
懸命に働いていたらこの世界に受け入れられる気がしたのだ。
「よし、こののどかな村でバリバリ働こう。もう一度、懸命に働いていこう!」
今までの人生にはなかった優しく楽しい日常のために再び頑張ろうと決めたのだった。
翌日、さっそくアルバイトをして回った。
朝早くに起き、ディリスの元でポーション配達、旅館で薪収集、マルコムの元で紡織、教会で小麦収穫、フォーガスの元で配達。
疲れたが充実した一日だった。
雑貨屋のマルコムさんには紡織りスキルを教えてもらった。糸づくりなんて初めてだった。
数日後、ダンカン村長に礼を言い旅館に移った。
この時の健斗は、やはり働くことは素晴らしいと思っていた。
しかし、やはりこの世界で生きるには強さが必要だった。
この後とんでもない恐怖体験をし、それを痛感させられたのだった……