ブラックから始まるエリン生活 第10話 エリン恐怖体験3
ある日、イベントリの中に謎のてるてる坊主が入っていた。
「あれ、こんなもの入れてたっけ?」
最初は健斗も不思議に思ったが、ただそれだけだった。
その日は蜘蛛や巨大オオカミとも出会わず普通の一日だった。
朝のてるてる坊主の事など夜にはすっかり忘れていた。
翌日、昨日有ったてるてる坊主は当然あった。
2つ……
「……え?なにこれ?」
健斗は不気味だと思い身近な人に聞いみたが誰も知らなかった。
それでも健斗は仕事に出かけた。
仕事中にできるだけ気にしないようにして夜には忘れることができた。
さらに翌日。
やはりイベントリの中のてるてる坊主は消えていなかった。
しかも3つに増えていた…
「……」
流石に健斗もただ事ではないと恐怖し始めた。
その日は仕事を少なめにして村中聞いて回ったが誰にも分らなかった。
「これはどういう事だろう……」
その日から健斗は怯え始めた。
仕事中も周りを常に警戒し続けた、ただの物音にも怯え始めた。
そして、てるてる坊主は毎朝増え続けた……
「これはいつまで増え続けるんだ?増え続けたらどうなるんだ?最後はどうなるんだ?まさかてるてる坊主のように自分が首を吊ることになるのか?何が原因だ?どこから出てくるんだ?……」
夜、一人でいると永遠と考えてしまい恐ろしくなる毎日だった。
てるてる坊主が現れだしてから10日目
健斗はこの怪現象におびえて何も出来ずにやつれていった。
「ついに10日目、いつまで続くんだ……」
やはり10個目がいつの間にかイベントリに入っていた。
その時、てるてる坊主が光り、10個のてるてる坊主が合わさってなぜか箱になった。
「な、何だ!?」
恐る恐る箱を開けてみると、中には傘とレインコートとレインブーツが入っていた。
「これは一体……」
やけに派手な傘とピンク色のレインコートに健斗は困惑していた。
その時、村のみんながもうすぐ梅雨だと言っていた事を思い出した。
「そうか、ナオがくれたんだ。そうに違いない。あの優しい女性が気を聞かせてくれたんだ。きっとそう……だよな?」
健斗は誰が聞いている訳でもないのにそう言った。
いや、ナオや他の誰かに否定される事を恐れて誰にも言えなかった。
これで終わった事にしたかったのだ。
その日以降、てるてる坊主は現れなかった。